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2022年3月26日土曜日

会計ソフトが動かなくなった!

令和3年度の確定申告無事終わったでしょうか。私は年末年始に個人事業の決算と必要書類の整理をするのですが、某社の会計ソフトを起動したところ自動更新の不具合でそのまま動かなくなりました。アクセスの自作会計ソフトをメインで使っていたので穏やかな年越しをすることができましたが、過信禁物ですね

(下の画像はアクセスではありません。Googleスプレッドで作った仕訳帳です)。

Googleスプレッドの仕訳帳。ギリギリ使えそうです。
ピボットテーブルが使えるので仕訳帳から試算表
決算整理は手入力ですが、BS、PLの小計が0になるようバランスするだけです


90年代はこの手の不具合はしょっちゅうでしたが2020年代になってもまだこんなことがあるとは!市販ソフトやクラウドはブラックボックスなのでシステム不具合時はバックアップも意味がありません。来年以降は電子帳簿ごとクラッシュするのでしょうか。

システム設計で一番重要な考え方は simple is best です。中でもデータベース設計がカギになります。重要なデータを格納するテーブルをコアテーブルと呼び、教科書通りの単純な構造とします。会計であればコアテーブルは1つしかありません、仕訳帳テーブルです。私のような個人事業者でも日本を代表するような大企業でも違いはありません。

重要な仕訳帳はEXCELに簡単にコピー出来るように設計します。何かトラブルがあっても仕訳帳を開くことはできます。そもそも記帳の手前で、EXCELのシートを費目別に分けて整理していると思います。自作の会計ソフトは費目別シートからの転記を便利にするために作ったものでした。

今回のケースはアプリケーション障害とデータ喪失にあたります。クラウドではないのでデータ流出の心配はありません。大ごとではありますが、別のアプリケーションを並列運用していたので実害はありません。社会インフラ系では、一世代前のシステムを待機系として維持する方式が以前はありましたが、最近は聞きません。現用系と待機系で異なるシステムを持つというのは、企業・商用システムの障害対策、可用性対策として見直されてもいいかもしれません。

Googleスプレッドの仕訳帳は、アクセスの会計ソフトをさらにシンプルに出来るのでは?と思いついて作ったものです。(総)勘定元帳兼用になっていてフィルターで勘定を絞ると相対勘定と合わせて確認することができます。決算整理は手入力ですがバランスさせるだけなので大した手間でもないと思います。アクセスは自動計算にしていますが、そのロジックを抜くとGoogleスプレッドで試算表まで行けてしまいます。Googleスプレッドで仕訳記帳と決算が出来るのは個人事業者にとっては大きいです。それを実感したくてEXCELで作ったものをGoogleスプレッドにUPしました。EXCELなのでソフトの使い方を新たに覚える必要もありません。これも大きいです。

結局 simple is best ということでしょうか。資産台帳、減価償却、在庫評価、原価計算などありませんが、私の仕事ではすべて0行なので。


2021年12月29日水曜日

中小企業の上手なITとのつきあい方

デジタルという言葉は毎日ように聞こえてきますが、企業向けのデジタルは何であんなに高いのでしょうか?PCが10万円そこそこなのに業者からの機器見積もりは数百万円が普通です(故障率に差はありません)。家にインターネット引くのと会社にインターネットを引くのも10倍違います。Webサイトは10倍ではきかないケースもあるようです。大企業はいざ知らず中小企業は参ってしまいますね。電子化、クラウドと騒がれても結局出費がかさむだけです。

そんな疑問に、IT企業に属さない専門家ならではの裏話を友人が話します

中小企業の上手なITとのつきあい方セミナー

会計、法律、労務の専門家がいるようにシステムの専門家もいていいようなものですが国の制度に基づくものではないので、なかなか難しいです。友人も私も専門分野に分業化してしまう前からITを経験しているので、見積が膨れ上がる裏事情を知っています。セミナーは会員限定のようですが、後日一部をご紹介できると思います。

永島志津夫

2021年6月5日土曜日

大企業よりも難しい?中小企業のシステム導入

大企業のシステムプロジェクト、バリューエンジニアリングのお手本になることはまずありません。何故でしょう?
  1. 30%の保険コスト
  2. 10%以上の事務局コスト
  3. 10%前後の承認待ちコスト
  4. 30%のエンジニア・マージン
  5. さらに機器、ソフトウェアなどの調達品のマージン

    どれもこれも、ユーザ、発注者からすると腹が立つコストですよね。トータルで2倍前後になります。機能、性能、品質は変わりません。納期も短くなりません。システムの寿命が長くなるということもありません。まったく最低です。

    でも大企業側が自分で責任を持つから、安くしてくれという話は聞いたことがありません。システムプロジェクトの失敗が怖いからです。

    しかし中小企業の社長さんが、こんなバカげたコストを認めるでしょうか?システムインテグレータが中小企業を避ける理由の1つがこれです。

    ホームページくらいなら目をつぶるにしても、気になるのは販売管理、在庫管理システムです。IT業界も20代で辞めてしまうことが多く業務知識まで頭に入っているエンジニアは大手でも多くはありません。業務要件は大企業でも中小企業でも変わりません。あたりまえですが勘が働かないと要件定義は出来ません。出来ていないことすら気付けません。

    冒頭のバカけたコスト、要はシステムインテグレータの教育代です。大企業は払えても中小企業は払えません。実は中小企業のシステム導入は経験者にしかできません。中くらいのエンジニアでは出来ません。しかし規模の小さい案件に限られた経験者をアサインすることはシステムインテグレータの商売の理屈として成り立ちません。これが理由の2つ目です。

    売上高100億円から1000億円の事業だと、オフコン現役というところも珍しくはありません。IBMだと AS/400、NECだと A-VX、他富士通など。そろそろ寿命も尽きます。そこで新システム構築なのですが、パッケージソフトがはまりません。大企業では逆にパッケージソフトやERPからの移行という案件も聞きます。だいたい無理にパッケージ、ERPをはめ込んだシステムは寿命が短くなります。パッケージの方が費用対効果が高いとは限りません。

    お医者さんや、大工さん程ではありませんが、システムエンジニアにもヤブと腕利きがいます。腕利きにあたれば同じコストで、タフで使いやすく、長期にわたり安心、安全に使えるシステムが出来上がります。大手に依頼しても運が悪ければ、そもそもプロジェクトが進みません。疑問があればご相談ください。

    永島志津夫
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    全社のシステムを少ない人数で見ていれば時に見落としもあるかもしれません。


    2021年3月2日火曜日

    確定申告と言えば決算ですが、帳簿はどうしましょう?

    確定申告、早々に済ませたいですね。個人事業主の場合その前に決算をします。日頃の記帳が出来ていれば決算は簡単です。仕訳帳を合算してBS,PLにおかしなところがないかの確認くらいです。システム設計だと毎月の記帳などしれたもので、売上、費用、売掛回収など10件もありません。私は固定資産、減価償却はないので会計ソフトの機能が多過ぎるのが気になりました。Excelに付けているメモを会計ソフトに転記しているので二度手間ですし、Excelで決算まで完結させたくなります。


    そもそも表計算ソフトの主な用途がアメリカの確定申告でしたね。

    会計ソフトの機能は突き詰めると記帳と決算です。基本となるデータは仕訳帳テーブルです。仕訳帳は会計システム唯一のトランザクションテーブルです。仕訳帳を合算する際の条件や合算項目(集計軸)によって決算書、試算表、各種元帳、月次売上推移表などに見た目が変わりますが、ファクトは1つということです。システム設計としては簡単で、せいぜい貸方、借方で1記帳2レコードになることと、勘定科目の貸方、借方に応じて符号があることくらいです。なので仕訳帳をもとにピボットテーブルを作れば、決算書になります。形式に凝ることもないのでBS,PL,SSが一緒になった試算表形式がいいと思います(個人事業の場合SSはBSの事業主貸借で済ませます)。貸方がマイナスになりますが、自分しか見ないので、そのままでも、エクセルの表示形式で直してもいいです。


    このようなイメージになります。ピボットテーブルで決算書になるのか?という疑問があるかもしれませんが、会計ソフトの内部ではピボットテーブルと同じことを行っています。BIと会計は相性が良くて多次元データベース Essbase も管理会計の定番でしたね。

    オンライン版のExcel(Office365)でも使えました。シート間参照、ピボットテーブルも問題ありません。FreeOfficeの表計算もOKでした。私はこれで十分です。

    永島志津夫

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    2020年9月7日月曜日

    コンペ提案 〈勝ち抜き〉


    RFPとか競争入札の提案活動のお話です。私はベンチャーが性にあっているので、だいたいチャレンジャーサイドでした。競合は大手、有名どころばかり、そんな不利な立場からの勝ち抜き、仕事の醍醐味です。


    この8月(2020年)まるまる、某AIコンペに費やしました。夏を制する者は受験を制す、と言いますが8月までに下期の案件が決まるのでシステムの仕事でも8月は重要です。
    RFP対応とかコンペはこれまでもこなしてきていますが、これだけどっぷりというのは初めての経験です。

    コンペは最後にだいたい2社の争いになります。チャンピオンサイド(大手有名どころ、既存ベンダー)対チャレンジャー(ベンチャー、新顔)になることが多いです。チャレンジャーがコストに勝るからで、大手の似たような提案は途中で絞り込まれることが多いです。コンペは、コンペをして発注先を決めたという手続き自体に意味があることも多く、はじめから当て馬というケースも多々あります。そうでなくともチャレンジャーサイドは負けること多く、光る技術、製品があっても、トータルで大手企業の求める品質基準についていけず、落とされます。会社の名前が品質を表すものではありませんが、名前で選ばれるのが現実です。
    勝率は高くはありませんが、チャレンジャーが勝ち抜ける例があるのも事実です。なぜか?と問うよりも、実力勝負、興味ありませんか? ” ここがロドスだ、ここで飛べ! ” 

    高校受験とか大学受験はみんな実力勝負でしよね。仕事でもその道何十年という経験を積んだ以上、自分の力で勝負したくありませんか?そんな機会を多く経験してきた私は幸せなのだと思います。システム大手では専門分野毎に、アプリ、基盤、プロジェクト管理・・と分担します。そもそも組織、部署が分かれていますから、担当分野以外のことに手を出せないようになっています。チャレンジャーサイドに分があるとしたら、一人の意思の全体設計で大手ではできないようなQCDを実現することにあります。顧客が見落としている大事なポイントがあれば、勝算は上がります。チャレンジャーの描くストーリーが評価基準になるからです。競合関係にない相手の場合、能力として自分より下の人間よりも上の人間を選ぶ傾向があります。 ”何でもやります” という提案よりも、 ”こうしなさい” という提案が選ばれます。名前で有名どころを選ぶのも同じ理由です。チャレンジャーはストーリーでそれ以上のことします。提案担当ができることと言えばそれくらいです。

    競争ですから、案件の中身、要求仕様もさることながら、案件の状況を知ることが大切です。見極めの一番のポイントは、なぜ依頼をしたかの理由、経緯そして今後の段取りです。段取りがあいまいな相手に付き合う必要はありません。相手を立てれば案件が取れる訳でも、事業や自分が成長する訳でもありません。発注者に思い違いがないようこちらの出来ること、立場を知ってもらうことが大事です。コンピュータは人間ほど利口ではないし、簡単ではないし、開発には時間もお金かかるということです。私は最初にはっきりそれを言います。勝算のない案件に時間を使うことよりも実需に合わせた製品コア機能の拡充に時間を使うべきです。

    ところで初めから勝算のない当て馬案件、見分けは簡単なのですが営業の立場だとなかなか捨てられません。ノルマがあるからですが、結局期末に悲しい結果を迎えます。当て馬ばかりというのは、営業の問題ではなくて製品、事業が当て馬レベルでしかないということです。そういう会社からは早く離れた方がいいです。ITの場合、営業で製品の不足を補うことは難しいです。いい仕事をするためには、いい環境に身を置きましょう。自己中心的、わがままでいいと思います。会社や上司も、みなさんの先のキャリアを考えている訳ではありません。その時々で役に立つ人間が欲しいだけです。自分のキャリアは自分で作る、そういう心構えがなければ、意思の通った全体設計なんてできないと思いますが、いかがでしょう。

    永島志津夫

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    2020年9月6日日曜日

    システム開発と原価計算 プロジェクト管理に実際原価がそぐわない?


    製造業の原価計算システムを設計開発することもあります。前工程から実際原価を算出し後工程に反映していきます(転がし計算)。これを連結ベースで計算することもあります。そんな高度なことしつつも、灯台下暗しで、システム開発会社で実際原価計算をしているところは滅多に見かけません(私が知るのは過去1社だけです)。


    エンジニアはだいたい固定給なので実際原価把握が容易なのに、なぜでしょう?どうも原因はプロジェクト管理にあるようです。プロジェクト管理と原価計算はもちろん別物ですが、一緒にやろうとすると実績原価(標準時間単価×実績時間)でプロジェクト管理して、原価差異を足し引きして財務上の原価を
    出しますが、実際原価に戻ってきます(当たり前ですが)。標準原価法を使ったところでプロジェクトを推進するプラスアルファは何もありません。予定原価と実際原価がほぼ一致する業種ならいざ知らず、試験や移行の工数を漏らすレベルで標準原価法を使う意味はありません。プロジェクト計画のリアリティチェックをするだけなのですが、できていないですね・・
    EVM(Earned Value Management)という進捗管理法があります。これは予定原価が信頼できる前提ですから、システムの世界ではダブルクエスチョンものです。そもそも信頼できる予定原価計算ができていればプロジェクトは成功を約束されたようなものです。すべて見通している訳ですから。形式的なプロジェクト管理も必要ないでしょう。待っていればQCDいずれも満足のいく結果が得られるます。前にも書きましたが見積、工数計算はシステム設計でも高い習熟度が求められる能力です(システム開発〈見積・工数計算〉)。 要は経験、能力が未達ということで、人材不足なのでしょう。新しい言葉、言語、開発フレームワーク、資源管理・・が出ては消え、出ては消えを繰り返して、本質に切り込めず、周りをまわっているだけのような印象です。予定原価に信頼性がない以上、システム開発の原価計算は実際原価で十分だと思います。

    永島志津夫

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    2020年7月23日木曜日

    UI/UXとは言うものの・・・

    UI/UXとか“クリエイター”さん達はかっこいい言葉を使うのですが、業務システムの場合どうでしょう?


    本音ではオフコン時代からのキーでパチパチ速打ち入力がいいと思っている方も多いのではないでしょうか?あまり見ませんがWebでもできます。PCの性能が高くなっている分、Webページにマスターを持たせることもでます。通信が発生しませんから速いです。

    サンプルです。1,2,3を打ってください

    1日1回 朝食後
    1日1回 昼食後
    1日1回 夕食後
    1日2回 朝食後/夕食後
    1日2回 朝食後/昼食後
    1日2回 昼食後/夕食後
    1日3回 毎食後

    薬の用法を分服回数(1日1回、2回、3回)で候補選択する様子を背景色で表示しました。同じように頭数文字でマスター(10,000件以下)を絞り込むことができます。候補をサジェスト表示するのがWebっぽいUIですが業務系では頭3文字+スペースキーで候補表示する方が使いいいです。またUIの紹介したいと思います。
    永島志津夫

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    2020年5月15日金曜日

    使える AI 使えない AI

    コロナの影響で派手な催しもできず AI / IT バブルがすっかり鳴りを潜めた感がありますが、本当のところはどうなんでしょうか? IT なんて不要不急の代名詞かと思いきや AI 系は影響を受けていないようです。よっぽど医療関係のほうがダメージが大きいです。


    わからないものです。医療のほうが不要不急だったとは。ただ区別しないといけません。医療は個人のニーズで、AI / IT は企業のニーズです。たまたま私はそのふたつを掛け持ちしているので比較してしまうのですが、企業活動は個人活動を凌ぐ力、強さがあるようです。

    AI にお金払っている個人います?いませんね。パソコン相変わらず賢くありません。このブログも賢くないかな漢字変換で効率悪く作っています。お金出して ATOK 入れたほうがいいのは分かっていますが、人間がカバーして良しとしてしまいます。

    ところが、企業は AI にお金払います。AI が全部できる訳ではないです。本当に限られたシーン、適切なユースケースだけです。ただボリュームが大きくなると人間の 1/10 以下のコストで業務をさばきます。24時間365日さばき続けます。10倍、1/10 というのは、パラダイムシフトが起きる目安で、以前のニューラルネットや AI ブームが終わってしまったのは、せいぜい 3倍、1/3 どまりだったからです。

    さてタイトルの “ 使えるAI 使えないAI ” 決め手は認識率だけではないです。ユースケース設計です。認識率が 仮に 80% でも、サンプリング調査であれば サンプル数を 25% 増やせば必要なデータは得られますね。ちょっと机上計算をしてみましょう。

    ・1 サンプル に10円かかる調査 で 1000サンプルなら 1万円、1250サンプルなら 12,500円
    ・1サンプルを人間がデータ化するのに 10円、AI だと 1円だとします。
     1000サンプルを人間がデータ化するには、1万円
     1250サンプルを AI がデータ化するには 1250円
    結果、人間だと2万円、AI だと13,750円です。2万円と1万4千円ではインパクトないですが、2億円と1億4千万円だとしたら、 AI に切替ない経営陣は責任を問われます。

    使える AI はユースケースに利があります。利があるユースケースをターゲットにして不要不急のコストをかけずに市場を拡大しています。AI  もまた資本主義の申し子、おそるべし資本主義!資本主義の辞書に自粛という言葉はないようです。

    永島志津夫

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    2020年2月7日金曜日

    失敗しない要件定義 その3 〈要注意な言葉 アカウント〉

    アカウント(Account)という言葉、あまりに意味が多過ぎて困ることありませんか?ただでさえ、業界、会社ごとの業務用語 “方言” があって、システム泣かせなのに、基本的な言葉の指す意味が複数あるのってどうなんでしょうか?


    クイズです。それぞれアカウントはどういう意味で使われているでしょうか?

    シーンその1 
    システム屋:「現状のアカウントの一覧ご用意頂けますか」 
    ユーザ部門:「分かりました。財務でいいですよね?」

    シーンその2 
    システム屋:「現状のアカウントの一覧ご用意頂けますか」 
    ユーザ部門:「全支店分ですか?何のためですか、許可は取ってますか?」

    シーンその3 
    システム屋:「現状のアカウントの一覧ご用意頂けますか」 
    ユーザ部門:「国内なら今週用意できると思います。海外現法はちょっと聞いてみないと・・」

    シーン1では勘定(科目)の意味です。財務会計の勘定科目ならあっという間に出せますよね。項目数でも1000ないくらいで意味のブレもそうそうありません。業種により多少違いはあっても経理さんに聞けば大丈夫です。(ただし補助勘定はローカル運用なのでご注意を)

    シーン2は銀行口座の意味ですね。ペイオフ制度のため名寄せが進んだとはいえ、口座は支店別管理です。定期預金口座は普通預金口座と別になっています。なので振替で資金移動をします。同一名義の別支店口座も振替であり、振込ではありません。振替とか、繰越とか会計と同じニュアンスで使われていますね。(あまり遭遇しないと思いますが、医療機関も施設別患者管理です。患者情報の施設外持出は原則不可です)。

    シーン3は得意先の意味で、銀行以外の業種でも得意先のことを口座といったりします。業務システムでは一般的な使われ方です。販売管理のキーとなるマスターですから、要件も盛りだくさんです。すぐ思いつくだけでも
    ・請求先か、届け先か、関連付けはどうしているか?
    ・与信(枠)管理はどの範囲で行っているか?
    ・仕入先は別管理か?
    ・グループ会社取引はどうフラグ付けしているか?
    ・国・地域、通貨、関税などとの関連付け・・・

    新しく導入したシステムでは減ってきていると思いますが、コードが8から始まるものとか、必ず確認していました(ニヤッとされる方もいると思います)。

    英語のミーティングでは Accounts of BS,PL, Bank account, Cusomer account と確認すれば良いかと思います。届け先は Address になります。

    アカウントの話、ITっぽくありません。システムと全然関係ないようで、知らないと要件定義1回目からアウトです。コンシューマとビジネスで考え方が丸っきり違います。アカウント=ユーザーではありません。以前、顧客コードを電話番号にしようとしていた人がいました。今なら E-mail でしょうか。絶対だめです。
    永島志津夫

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    2020年2月5日水曜日

    失敗しない要件定義 その1

    IT / システム部門の方とお話をするのですが、苦労が絶えないのは相変わらず要件定義のようです。開発になるとパソコンに向かうことが多くなるので技術者という感じですが、要件定義は対人業務です。ストレス解消法も良く話題になります・・


    要件定義には、コミュニケーション能力とドキュメンテーション能力(とストレス耐性)が求められます。業務要件を言われた通りに丸写しすればいいというものではなく、システム化、シンプル化のインタラクティブな現場対応が必要です。コンピュータは賢くありません。だからといって闇雲に要望を切り捨てたら使えないシステムになります。実現性、工数などを勘案して、賢くないコンピュータを不便でない程度にブラッシュアップして、費用対効果に見合うようにするのですが、実は要件定義で大方結果が出てしまいます。*

    設計フェーズで見直すという考え方もあるのですが、予算が決まっている以上、要件を膨らます訳にはいかないのです。要件精査でもたついたら設計フェーズの時間が削られてしまいますし、そもそも忙しい業務の合間をぬって検討会に参加してもらった業務部門のキーメンバーとの関係にひびが入るなど、デメリットばかりです。

    すべては無理にしても要件検討会のその場その場で問題処理をしてしまわないと時間切れになります。データもあいまいでは困るので定義を明らかにしていきます。データ間の依存関係、上下関係も大事です。幹をクリアにしないと例外要件なんかまず出てきません。

    プロジェクトは要件定義開始2週間が勝負です。最初の2週間でセッションをリードできれば要件定義をスケジュール通りに進めることが出来ます。失敗するプロジェクトは、要件定義が終わっていないのに時間切れで次のフェーズに進めている場合が多いです。設計フェーズで吸収しよう、ということですが、設計フェーズの方が投入工数は増えるので進捗の遅れのインパクトが大きくなります(工事進行基準廃止!)。要件定義が終了しているモジュールから五月雨式に設計に入ろう、としますが、データモデルを共有している以上、影響が伝播します。結局、設計修正、手戻りが発生し二重コストになります。データモデルが確立していない段階でのアジャイル開発が失敗するのはこの点にあります。MVC ( Model, View, Controler ) Modelについてはウォータフォールに利があります。データモデルを精査するためにはユースケース(システム利用、操作仕様)の理解が必要で、業務シーンではその重要なインプットの一つに業務フロー(業務フローがあります。

    業務フロー図にやり取りされるデータは定義されているでしょうか?失敗しない要件定義の分かりやすい Howto を一つアドバイスさせて頂くとしたら、

    業務フロー上のデータを精査

    することです。あまりうるさく言われていないようですが、成功のカギの一つです。
    大変かもしれませんが、必ず報われる苦労ですので。是非一度レビューしてみて下さい。
    永島志津夫


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    * 顧客サービスですから、ここをうまくお話ししないと仕事が終わってしまいます。状況をフェアに説明し理解を得て、妥協点に落ち着かせる交渉事でもあります。

    2020年1月27日月曜日

    システムの費用対効果 〈研修による能力向上、人材開発〉

    忘れられがちですが、人材開発は最も効果的なQCD向上策です。適切な研修や職場教育(OJT)は費用対効果を何倍にも高めます。2年前の新卒者研修で行った内容をご紹介します。*


    15名の新卒者を対象に初期導入教育を実施しました。昨年の反省を踏まえ今年は一人一人に集中力を求める強化プログラムに変更しました。メモをとらずに30分ヒアリングをする。人の話を頭に焼き付ける。そのために集中力を発揮する、昨年との違いは“集中力”、この一点です。


    高専卒から大学院卒まで年齢は5歳くらいの幅がありましたが、結論から言えば、集中力、ヒアリング能力に年齢、理科・文科など専攻の影響は見受けられませんでした。採用プロセスで一定の基準をクリアしているからでしょうか。ただ意外なことがわかりました。今回はそのこともお話しします。

    研修の内容は、模擬的に顧客へのヒアリングを実施し、問題分析、改善提案を行うというものです。ヒアリングでは私が一人二役で上司役と顧客役を演じ分けました。15名の新卒者はスタッフとして、個々に上司と顧客にヒアリングするという設定になっています。上司とスタッフのペアが15組あるかのようなイメージですね。また問題を分析、改善提案をスライドにまとめていく過程では私が上司役としてレビューを実施しました。

    お客様はアパレル企業、人事部さんとの打ち合わせでヒアリングをするという設定です。副業採用を本格化するとのことで、既に導入済みの正社員採用の電子りん議を手直しするというものです(※フィクションです。念のため)。検討されている副業のあらまし、採用りん議として考慮すべきことなどをヒアリングします。実際のヒアリングは20分になりました。60分かけてヒアリング内容を議事録にします(実際の仕事でも慣れないうちは議事録作成にヒアリング時間の3倍かかるというのが相場です)。

    副業を取り上げたのには理由があります。技術系、営業系と大きく配属先の目処はあるとはいえ総合職は辞令一つで明日から何屋さんにでもなるというものです。だからといって主体性を無くしては何屋、何者にもなれません。仕事(賃労働)とは自分の職務能力を売ることであり、会社に来て漫然と時間を過ごすことではない、そのことを意識する材料として、副業=得意とする職務能力を売る、働き方を題材としました。

    お話の内容です。

    “販売員、デザイナー、EC系ITなど専門職について副業採用を考えている。販売員であれば週末の忙しいタイミングで働いてもらう。平日・週末の繁忙の波はもちろんだが、ファッション通の個人の力に期待する面もある。自分のブログでコーディネートを発信、街中での動画も活用し表現力豊か、プロ顔負けのものもある。固定ファンも持っている人も多いようだ。自社のブランド、自分の世代に閉じることなく、幅広く素養を得て、お客様との交流経験を積むことがこれからの販売スタッフには必要だ。正社員にも良い刺激になるはずである。デザインも仕事の波があり必要な時に仕事を出したい。クリエイターにとり仕事がないのに会社に来ることほど苦痛なことはないらしい。逆に自分がしたいと思っていたチャレンジングな仕事というのは、いくら忙しくてもイキイキしていられるらしい。もちろん、その方がデザイナーにも相当良い収入になる。EC系ITは他社での経験、ノウハウを期待している。例えば、おすすめ商品、いいねリスト、購買履歴など、表には出てこないところでレスポンスを高める設計上の工夫があるらしい。利便性とのトレードオフをクラウド基盤の特性を踏まえ実装、ECサイトを成功させている人材の手を間借りしたい。

    もう一点、採用後2年間に掛ける育成コストを採用りん議の段階で想定しておきたい。人件費(給与、賞与、社会保険、福利厚生)、エージェント経由の場合のコミッションなどの直接費に、育成コスト加えたトータルで勘案したいという要望が経営から出されている。人手不足を背景に十分な能力を持たない人材を無理に採用しアンマッチが起きている。早期退職ではコミッション分も回収できていないので、育成コストという項目で現状の能力を意識させ、無理な採用に一定の抑止をかけたい。”

    他、選考、採用りん議のプロセスに関連した内容が続くのですが、それは割愛します。

    ヒアリングを前編と後編に分けて、計2回行う予定だったのですが、結果的に前編を1回追加し計3回実施しました。最初のヒアリングの出来があまりに悪かったからです。出来が悪かったというのは全員ではありません。出来た人と出来なかった人の差が甚だ大きく出ました。今回わかったことの一つは、このヒアリング能力と問題分析能力の相関です。問題分析、改善提案の最終的な出来はほぼ最初のヒアリングの出来に連動しました。同じヒアリングを2度実施し、提出してもらった議事録を見る限り個人間の差は縮まっていたのですが、結論から言えば前編を2回実施せずとも最終的な結果に差はありませんでした。これは怖い結果です。一見簡単なタスク、30分ほど人の話を聴くことが、問題分析、改善提案といった高度なアウトプットに連動するのです。出来の良い人ははただ聴いているだけではない、問題分析、改善提案につながる ”何か” が違うのです。そもそも、人の話を聴くというベーシックな知的好奇心があるか、ないか、その違いではないかと私は見ています。モチベーションなくして認知・行動はありませんから。



    例えば採用試験にヒアリングを導入すれば良いスクリーニングになるでしょう。話の要点が議事にあるかチェックするだけです。難しい質問を用意する必要もありません、簡単なことです。また面接を何度もするくらいなら、ヒアリングに続き問題分析の宿題を出しても良いでしょう。あまり手間のかかる宿題を出せば他の企業に流れるかもしれませんが、問題解決に興味のない人間、問題分析を億劫がる人間を雇用し続けることになるくらいなら他に行ってもらった方が良いとも言えます。単純労働は早晩機械に取って代わられますから。

    ※求職者側の意見ですが、就職活動をしていた頃、形式的に続く部長面談、役員面談に辟易しました。何の意味があるのでしょう、同じような質問ばかりで。これはこれで求職者側の企業見極めになりましたが。



    知識教養がないのも考えものです。あまりに論理性がないのも困ります。しかし仕事の現場に書かれた文章が用意されているでしょうか?顧客の要望、要件が文章として既に存在しているのでしょうか? face to face のコミュニケーションで徐々に要望、要件が具体的になり、”である・ではない” という問い掛けから、あいまいさが排除され、よりクリアになっていく。“こんなケースはどうでしょうか?” という自分にはない相手の発想から、より発展されたアイデアが作られていく、そのような創造のプロセスにこそ機械に代替されない人間らしい労働の価値があります。



    顧客とのコミュニケーションには甘えが許されません。重電メーカの総合研究所にいた時、NTT出身の所長がレビューや面談で “技術者の独善性” という言葉を何度も使っていたことを覚えています。当時、私はその言葉の実感がありませんでしたが、20代の最後、顧客相手の仕事に復帰した時、責任も重く、コミュニケーションに緊張しましたが、何よりも “技術者の独善性” を思い知ることができました。専門性を盾に社内では好きな事を言えます。言いっ放しができます。その気がなければ人の話に耳を傾ける必要もありません、あえて不都合、不愉快なフィードバックをする人もいないでしょう。そんなことは組織において損なことですから。しかし、顧客には筋の通らないことは言えません。言い訳もできません。“技術者の独善性” は顧客に接し、フィードバックを直接受け、“痛い目” にあうことで初めて気付くのです。

    ですから、今ヒアリングの出来が悪かったとしても悲観することはありません。母国語の話を30分聴き取る、こんなことすら自分は出来ないということを入社した4月の段階で認識できたことは有益です。4、5年後の異動で気付いたとして、どうしろというのでしょう。

    永島志津夫

    * 当時別のブログにあげた記事を再掲しました


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    2020年1月12日日曜日

    システムの投資対効果 〈 Python AI ニューラルネット 〉

    Python 使いやすいです。この簡単さ、何かに似ていると思いました。そう、BASIC* です。インタープリタだし、宣言しなくていいし。それでいて配列計算をスカラーのように記述できます。SASもそうですが、データアナリストは1命令でデータセットの処理記述ができる言語が好みです。ビギナーからプロまで遊ぶように使える素晴らしい環境ですね。


    面白くなって少し遊びました。おなじみ「ゼロから作るDeep Learning」  ( 教材はGithub )。 でもあえて Deep とは反対の事を試しました。二層のニューラルネットで手書き文字認識( MNIST  0から9の数字 ) を学習させるのですが、中間層をどんどん落としていきます。タイトルの通り、費用対効果を見るというトライアルです。

    結果です。
    中間層 認識率(テストデータ)
     50 unit 94.6 %
     25 unit 94.1 %
     15 unit 93.3 %
     10 unit 92.1 %
       7 unit 91.3 %
       5 unit 87.3 %

    中間層が 7 でも認識率が 90 %越えるのですよ。どうなっているのでしょうか?おそらく 0 から 9 のどれか 1つに分類するというタスクであれば、特徴量は 10 も必要ないということではないかと推察しました。7 程度の特徴量の組み合わせで まあまあの認識ができると。こんなことから CNN に発展したのかもしれませんね。
    多ければいいというものではない、少ない程必要なものに迫っている、何だか要件定義と同じですね。機能やデータを絞って迷わず使いやすくするのがデザインのポイント、性能も上がりますし。だいたいロジカルじゃないことはシステム実装できませんから。思い切ってシンプルにそぎ落とすのが肝心です。
    永島志津夫

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    * パソコンのコンピュータ言語といえば BASIC という時代がありました。1980年代です。