2020年1月29日水曜日

工事進行基準廃止!

“ 2021年4月以降開始の会計年度から工事進行基準廃止(強制適用) ” 大規模なシステムを請負開発している会社(の経理部)さん大変です。いまからソフトランディングできるよう調整かけていると思います。今回はシステム開発、プロジェクト管理を会計、原価管理面から触れたいと思います。


そもそもですがシステム開発の進捗って、計量可能でしょうかね?計量可能だとしたら尺度、単位は何でしょうか?禅問答のようですが、これがシステム開発の進捗把握を困難にしている要因の一つです。答えは工数なのですが、その工数が曲者で、意味ある仕事をした時間、生産的にソフトウェアを生産(設計、開発)した時間です。その中には顧客打ち合わせ、設計書などの資料作成も含まれます。これらが原価計算でいうところの直接労務費になります。他の業界では間接費にあたるものが、ソフトウェアの場合、直接費であり原価のほぼすべてを占めます。ベテランと新人では生産性は桁違いです(もちろん仕事の質、役割の違いもあります)。ベテランといえどもお客様やチームメンバーとのコミュニケーションに難があるとパフォーマンスが落ちます。要員をアサインしていれば工数は日に日に増えていきますが、その通りに進捗している訳ではありません。予定工数(予定原価)実績工数(実際原価)の乖離が広がるだけです。予定工数の信頼性が失われた時点で、もはや工数進捗計量の用をなさなくなります。いわゆる炎上です。

経理部の人が聞いたら驚かれるかもしれませんが、経験あるリーダー(プログラマーからのたたき上げ)は、投入工数をあてにしていません。毎週のソースレビューや小規模な動作試験の結果で完成度をざっくり評価しています。機能単位・難易度別に未着手(0%)、着手(10%)、仕掛中(20-60%)、完成検査待ち(70-80%)、検査終了(90%)のようなステータスを置いています。あたかも建物のような構造物のごとく、システムの仕上り具合を目視しています。感覚的に評価することもありますが、メンバーの顔を見ながら話しをしているので、そんなに外れません。ソースレビューはメンバーの実力や弱点が良くわかります。支援のポイントもわかります。その点でもプロジェクトを推進するのにプラスです。
ただし手間がかかりますし、たたき上げのリーダーでなければこのスタイルはとれません。リーダーの仕事、それだけではないですからね、大変です。ですがシステムの品質は確実に向上します。

スクラッチ開発からパッケージソフト導入に時代は変わりました。手間のかけどころも変わったと思います。工事進行基準は廃止していいと思います。こんなことまでやれというのは酷です。完成基準で、受入検査合格、不合格でいいのではないでしょうか。

ただ事業の命運を握るようなシステムは工数で進捗把握をしないでください。目利きをいれて実際の進捗把握を行いつつ、高い品質のシステムを作ってください。

永島志津夫

全社のシステムを少ない人数で見ていれば時に見落としもあるかもしれません。

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