2021年6月26日土曜日

寿命30年の自社開発システム!

(システムの費用対効果〈 システムの寿命 〉を改題)

30年動いてきたオフコンがありました!すごいですね。開発の費用対効果もさることながら、バージョンアップやデータ移行などの無駄もなくシステムの鑑です。パッケージ、ERPの方が楽だというのは本当でしょうか?大企業でなければERPのバージョンアップコストとても払えません。

30年前の設計書も残っていました。手書きで感動しますね。設計書を見ると、30年の間にシステムの使われ方が変わってきたことがわかります。現在は販売管理業務がメインなので使用帳票とヒアリングから、業務フロー、データ定義、画面プロトタイプも起こしました。ただ30年前のデータ仕様書は参考にしました。業務システムの根幹はデータ設計です。今回のシステムはマスタ以外のデータ移行はないので、テーブル構造、データ定義の制約はないので、データ設計をさらにシンプルにしましたが、イレギュラーケースの想定など念のためデータ仕様書を確認しました。

リレーショナルデータベース(MariaDBです)のビューやトリガのおかけで性能を維持しプログラム数も減らすことができました。フロントエンドがアクセスなのでクエリにデータフローを記述できるので手書きのプロシージャも最小限です。その分、便利機能を盛り込むことができました。

過去、私の関わった比較的大規模なシステムで、アパレル全社基幹システム、医薬品卸営業支援システム(SFA)、配送トラック動態管理サービス* があるのですが、どれもシステム稼働から10年を越えて安定稼働を続けている・続けた* ものです。ハードウェア交換は行っていますが開発されたプログラムは動き続けています。どれもスクラッチ開発です。

一方、パッケージ導入は稼働延長したものでも8年が限界でした。意外なのですが、パッケージの方が寿命が短いです。古い環境に特別対応できないからですかね?メジャーバージョンアップにぶつかって、実質的に再導入というケースもありました。もう別の製品ですね。

パッケージといっても大体アドオンするのでそんなに安くないし、アドオンプログラムのバージョンアップ対応でお金が出ていきます。製品保守費の15-20%が毎年自動的にかかっているのに、さらに上乗せされるお金です。会社の中で、金食い虫と情報システム部が白い目で見られる訳です。でも自社システムを開発する要員もいないし、中途半端にベンダーに頼らざるを得ないのが現状ですね。問題は業務別のシステム、パッケージという名のブラックボックスの乱立で、今度は運用管理やデータ連携に苦労することです。そこまでは外部に頼れず、結局、運用管理にシステム部の人手がとられてしまう。悪循環です。

パッケージソフトって、それ一つだけだとメリットが感じられるのですが、複数の組み合わせとか、連携とかになると途端に出来ないことが出てきて運用しづらくなります。
ユーザサイドも苦労して導入したソフト、せっかくなので長く使い続けたいですね。費用対効果のメリットも出てきますから。運用まで考えてパッケージ選定、システム設計したいです。

パッケージ導入、コツがあります。システムフローの尾っぽ部分はセーフです。頭部分は要注意、胴体部分は・・・
SAP 困っていませんか? 国産ソフト、クラウドベースやオープンソースですっきりさせるのも一案です。
永島志津夫

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追記 2020年1月6日
ワークフローソフトをパッケージ導入頂いたお客様を久しぶりにご訪問させて頂きました。無事、運用されているとのこと。安心いたしました。
お客様が大変協力的で(システムは賢くはないことをご理解いただき)アドオンなしで導入頂いております。末永くご利用いただきたいと思います。

30年後も動いているシステム設計

システムの寿命を縮めるバージョンアップ、Windows11のリリースがアナウンスされていますが会社でPC管理している方にとっては面倒なお話です。社員1人に1台ずつPCがある時代に、機器やOS、他ソフトウェアの更新、その計画、費用、手順等々・・。在宅、テレワークということもあり今回はこれまで以上に面倒になりそうです。経営からは「なんでそんなに金がかかるんだ!」と言われ。情報システム部がまた悪者扱いされそうです。

本業と関係ないところで手間がかかる断トツの悪者がパソコンです。Windows登場当初からアップデートと保守切れ問題はありましたが、Windows10になってからウィルス対策の頻繁なアップデートが目立ちます。システム管理者権限でログインしないというのが一番のウィルス対策なのですがWindowsはもう戻れなくなり、負のループに陥っています。Unix系では当然の対策である管理者権限のないログインはWindowsでも有効なので自衛策としてオススメです。
OSに加え、データベースソフト、パッケージソフト、ERPなどのバージョンアップ=保守切れが業務システムの寿命を短くをする原因になっています。自社開発の場合は保守切れはありませんが、OSやデータベースソフトのバージョンアップの影響を受けることがあります。
業務システムの要はデータベースです。幸いデータベース設計の考え方は30年前から変わっていません。業務に適したデータ構造、データ間の主従関係、i一意識別子の設定です。一般会計であれば、決算期、勘定、部門などを主マスタとした仕訳データテーブルとします。設計の基本は30年前から変わっていません。基本を守れば30年後も動いてるシステムを設計することができます。流行りベストセラーに惑わされずロングセラーに徹します。
私が仕事で使用しているパソコン、2010年製造ですが問題なく一般会計と販売管理のデータベースが動いています。SSDに交換しているので性能も満足です。

ところでWindows10は2025年までサポートされるようです。またオフィスソフト(ワード、エクセル、パワーポイント)なら、FreeOfficeも使えるのでLinuxも良いと思います。
永島志津夫


2021年6月14日月曜日

今さら?Googleフォームで注文受付

Webシステムはクライアントサーバよりも開発に手間取ります。スマホ、PC様々なブラウザ、バージョンへの対応という厄介な問題がありシステム寿命も短く、自前で作ることはお薦めできません。ただ、あり合わせで使える場合は例外です。高い開発生産性、費用対効果が期待できます。簡単なアンケートに特化したGoogleフォーム(Forms)がその一例です。

流行りのデリバリーもこんな感じで。

Googleフォーム、帳票はいたってシンプルなのですが、注文が入ると自動的に通知メールを飛ばせます(お客さんには注文確認、お店には注文通知)。これを使わない手はありません。メール通知はセキュリティも関係し、開発するとなるとそれだけで結構、手間と費用がかかります。Googleフォーム、優れものですね。

またGoogleフォームはユーザ管理を完全に省略しています。何か代用が必要なのですが、実はメールアドレスがここでもポイントになっています。ユーザ管理をショートカットした効果は大きいです。結果的に大変シンプルなソリューションになっています。

あり合わせ(AsIs)で使えれば儲けものと考えましょう。一歩でも個別開発に踏み出せば途端に苦労します。注文受付はGoogleフォームでカバーできそうです。

受付の後工程、受注・販売管理をWebで作るなんて無謀なことはやめましょう。開発費が数倍に膨れ上がります。そこは、今さら?クライアントサーバ 方式で。

Googleフォームから自動的にデータを取り込むことが簡単にできます。データベースは業務システムにとっては本当に魔法の箱で、進捗・配送管理、送り状、納品書、請求書、会計仕訳など小回りよく応用が可能です。Webと違ってアクセスなら動作環境を気にすることもありません。そもそも365にバンドルされているので使わないと損というものです。
マイクロソフトもGoogleも使いようです。オープンソースと合わせてバランス良く。
デジタルトランスフォーメーション、要はこういことです。

永島志津夫
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2021年6月9日水曜日

中小企業のテレワーク 手軽で安全なネットワークは?

大企業では定着しつつあるテレワーク、自宅から会社のシステムへの接続に困っていませんか?ベンダーからの高額の見積に断念した中小企業の方もいるのではないでしょうか?高い安全性で月々のランニングコスト数千円で済む方法があります。

既存のネットワークには手を入れません。データ通信のSIMを入れられるリモートアクセス用のルータを設置、自宅とルータの間の通信を暗号化(VPN)します。社外からのアクセスを許すシステムにネットワークインターフェースを追加し、システム、アプリケーション側で機能制限をかけます。
※この制限は必須です。社外アクセスを許可すると1時間と待たずに様々なアタックが始まります。社外からのアクセスに制限を設けない設計はあまりに危険です。

この方式はインターネットの世界では古典的な設計で、信頼性も高く堅牢です。保守性も良く、無理がないので長く使い続けることができます。セキュリティにも優れておりベストプラクティスの一つに違いないのですが、提案するベンダーはまずいません。
・固定回線の通信事業者は提案しない(モバイル回線では商売にならない)
・機器販売の代理店は提案しない(安い商売にはつきあえない)
・ネットワーク+システム、アプリケーションの知識も必要
IT業界も専門毎に分業化されており、ネットワークとシステム、アプリケーションの両方がわかる人は限られています。両方がわからないと全体最適の設計は出来ません。セキュリティまで含めネットワークだけで解決しようとすると、ファイアウォール、侵入検知装置の導入など大げさで高額になります。無理のある設計は寿命が短いのでライフサイクルコストも高くなります。
結局自分たちで何とかしないといけません。実際、あるお客様では、通販でルータとSIMも調達しました。どちらも1週間以内に用意できました。値段もさることながら、見積をとっている間にテレワークの準備が出来てしまいます。
企業用機器が通販で買える時代に、IT業界はいつまで古い商売続けるのでしょう?機器は格安で調達でき、ランニングコストも格安スマホと同じレベルです。

VPNはインターネットからのアクセスを許すので、専門知識が必要です。 ご紹介した構成は、既存のネットワークと独立しているので、ビギナーでも進めやすいのですが、後々、危ういことになったり、追加コストで大変な目に合わないよう、疑問、不安があればご相談ください。
永島志津夫
オフィスエヌ ショートレビュー5万円から


2021年6月6日日曜日

今さら?Accessで会計ソフトを自作 バージョンアップもシステム寿命も心配なし

SQLを知っていると会計ソフトは自作できてしまいます。SQLは本当に会計処理と相性が良くて、かのオラクルも当初のアプリケーションは会計でした。アクセスのビュー定義(クエリ)だけで試算表まで出来ました。




会計ソフトに入力する前に、売上や経費をエクセルで管理することが多いと思うのですが、会計ソフトにコピー&ペーストできません。毎月同じように発生する経費を逐一入力しないといけません。会計ソフトの中でコピーも出来るのですが、エクセルのようにはいきません。売上の場合は売掛金の入金消込もあります。決まりきった入力があまりに多いのが自作の理由です。減価償却もないので会計ソフトといっても簡単なものです。

工夫したのは、毎月同じように発生する経費入力画面です。金額を1ヶ所に入れれば、SQLの力で12ヶ月分の仕訳が自動的に作られます。


売上はエクセルからコピペしやすいよう、データシートに入力します。また証憑ファイルもデータベースに添付できます。これは便利です。顧客と月次でインデックスになっています。一般の会計ソフトにありそうでない機能です。

顧客1,2,3は次の画面で定義します。私のような仕事だと得意先数は知れたもので、だいたい年度が契約の単位なので年毎に得意先を定義するようにしました。支払サイトも定義しておき、入金消込も自動で仕訳生成します。

※都度発生する経費は普通の手入力仕訳画面です。

COBOLは事務処理に向いているといいますが(なのでSAPの開発言語ABAPはCOBOLライク)、SQLはさらに強力です。画面と帳票にアクセスを使えば、中小企業から大企業まで、ほとんどの業務をカバーできます。システムの寿命の長さという点でも有利ですね。PCのパフォーマンスがCOBOL全盛期のスーパーコンピュータを超えている現在、性能には何の懸念もありません。→今さら?クライアントサーバ

自作なので費用対効果は言うまでもないのですが、空き時間を見て1週ほどで作りました。アクセスは手軽なので商業高校の簿記とコンピュータの実習にもピッタリです。もちろん大企業も活用できると思います。バージョンアップやシステム寿命の心配もありません。

永島志津夫

※アクセスで自作した会計ソフト、自分のようなコンサルタント、システム設計業用のものです。在庫なし、原価計算なし、固定資産なし、減価償却なしで、売上と経費から税引前利益=資本勘定が直ちに決定します。製造業だとこうはいきません。

個人事業の場合、特別なことがなければ試算表=決算書となります。また株主資本等変動計算書(旧 利益剰余金計算書)はなく、事業主貸借勘定がそれに相当します。なので作りは簡単で会計ソフトとしては必要最低限の機能しかありませんが、Excelから自由にコピーできるので、個人的には使いやすいと感じています。


2021年6月5日土曜日

大企業よりも難しい?中小企業のシステム導入

大企業のシステムプロジェクト、バリューエンジニアリングのお手本になることはまずありません。何故でしょう?
  1. 30%の保険コスト
  2. 10%以上の事務局コスト
  3. 10%前後の承認待ちコスト
  4. 30%のエンジニア・マージン
  5. さらに機器、ソフトウェアなどの調達品のマージン

    どれもこれも、ユーザ、発注者からすると腹が立つコストですよね。トータルで2倍前後になります。機能、性能、品質は変わりません。納期も短くなりません。システムの寿命が長くなるということもありません。まったく最低です。

    でも大企業側が自分で責任を持つから、安くしてくれという話は聞いたことがありません。システムプロジェクトの失敗が怖いからです。

    しかし中小企業の社長さんが、こんなバカげたコストを認めるでしょうか?システムインテグレータが中小企業を避ける理由の1つがこれです。

    ホームページくらいなら目をつぶるにしても、気になるのは販売管理、在庫管理システムです。IT業界も20代で辞めてしまうことが多く業務知識まで頭に入っているエンジニアは大手でも多くはありません。業務要件は大企業でも中小企業でも変わりません。あたりまえですが勘が働かないと要件定義は出来ません。出来ていないことすら気付けません。

    冒頭のバカけたコスト、要はシステムインテグレータの教育代です。大企業は払えても中小企業は払えません。実は中小企業のシステム導入は経験者にしかできません。中くらいのエンジニアでは出来ません。しかし規模の小さい案件に限られた経験者をアサインすることはシステムインテグレータの商売の理屈として成り立ちません。これが理由の2つ目です。

    売上高100億円から1000億円の事業だと、オフコン現役というところも珍しくはありません。IBMだと AS/400、NECだと A-VX、他富士通など。そろそろ寿命も尽きます。そこで新システム構築なのですが、パッケージソフトがはまりません。大企業では逆にパッケージソフトやERPからの移行という案件も聞きます。だいたい無理にパッケージ、ERPをはめ込んだシステムは寿命が短くなります。パッケージの方が費用対効果が高いとは限りません。

    お医者さんや、大工さん程ではありませんが、システムエンジニアにもヤブと腕利きがいます。腕利きにあたれば同じコストで、タフで使いやすく、長期にわたり安心、安全に使えるシステムが出来上がります。大手に依頼しても運が悪ければ、そもそもプロジェクトが進みません。疑問があればご相談ください。

    永島志津夫
    オフィスエヌ ショートレビュー5万円から
    全社のシステムを少ない人数で見ていれば時に見落としもあるかもしれません。