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2020年11月24日火曜日

官報掲載 統計センター 【AI技術を用いた文字認識サービスの提供業務】

私がシステム設計、提案した案件が官報に掲載されました。統計センター【AI技術を用いた文字認識サービスの提供業務】です。これは紙の統計調査票をAI-OCRという文字認識技術で自動読み取りしてデータの整備を行うというもので、AI技術の実使用として国内最大規模のものです。令和2年国勢調査を含む大規模調査の自動読み取りに5年間使用されます。

第3次AIブームも重要なマイルストーンを通過しました。

期待値だけでは技術の自然成長はあり得ません。実使用に耐え、経済価値をもたらすかがポイントです。同じAI、ニューラルネットでも音声認識はOCRほどお金になりません。官庁であれ民間であれ業務情報は書類として記録されており、オーディオで保存されている訳ではないからです。画像認識の応用として医療がありますが、医師抜きの画像診断に診療報酬をつけられる訳でもなく、お金になるのでしょうか?AI-OCRがちょうど実使用期に入った良いタイミングでこの入札がありました。書類を対象とするAIは今後も発展していくでしょう。

AIだけでは実用レベルのシステムは出来ません。他のIT技術を組み合わせた全体設計となって、ようやく使い物になります。要件分析、基礎設計、プロジェクト計画など全てを私が行いました。建築のような目に見えるデザイン、意匠はありませんが、システムにも筋のいい設計、悪い設計があります。基礎技術を使って費用対効果の高い、シンプルで安定したシステムを設計するのが私の得意です。1人称で書いていますが、本当に1人称です!入札提案は難易度の高い仕事ですが、落札提案がまさか1人の手によるものだったとは競合もあきれ返ることでしょう。

入札提案の実際はまた次の機会に

永島志津夫

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2020年9月7日月曜日

コンペ提案 〈勝ち抜き〉


RFPとか競争入札の提案活動のお話です。私はベンチャーが性にあっているので、だいたいチャレンジャーサイドでした。競合は大手、有名どころばかり、そんな不利な立場からの勝ち抜き、仕事の醍醐味です。


この8月(2020年)まるまる、某AIコンペに費やしました。夏を制する者は受験を制す、と言いますが8月までに下期の案件が決まるのでシステムの仕事でも8月は重要です。
RFP対応とかコンペはこれまでもこなしてきていますが、これだけどっぷりというのは初めての経験です。

コンペは最後にだいたい2社の争いになります。チャンピオンサイド(大手有名どころ、既存ベンダー)対チャレンジャー(ベンチャー、新顔)になることが多いです。チャレンジャーがコストに勝るからで、大手の似たような提案は途中で絞り込まれることが多いです。コンペは、コンペをして発注先を決めたという手続き自体に意味があることも多く、はじめから当て馬というケースも多々あります。そうでなくともチャレンジャーサイドは負けること多く、光る技術、製品があっても、トータルで大手企業の求める品質基準についていけず、落とされます。会社の名前が品質を表すものではありませんが、名前で選ばれるのが現実です。
勝率は高くはありませんが、チャレンジャーが勝ち抜ける例があるのも事実です。なぜか?と問うよりも、実力勝負、興味ありませんか? ” ここがロドスだ、ここで飛べ! ” 

高校受験とか大学受験はみんな実力勝負でしよね。仕事でもその道何十年という経験を積んだ以上、自分の力で勝負したくありませんか?そんな機会を多く経験してきた私は幸せなのだと思います。システム大手では専門分野毎に、アプリ、基盤、プロジェクト管理・・と分担します。そもそも組織、部署が分かれていますから、担当分野以外のことに手を出せないようになっています。チャレンジャーサイドに分があるとしたら、一人の意思の全体設計で大手ではできないようなQCDを実現することにあります。顧客が見落としている大事なポイントがあれば、勝算は上がります。チャレンジャーの描くストーリーが評価基準になるからです。競合関係にない相手の場合、能力として自分より下の人間よりも上の人間を選ぶ傾向があります。 ”何でもやります” という提案よりも、 ”こうしなさい” という提案が選ばれます。名前で有名どころを選ぶのも同じ理由です。チャレンジャーはストーリーでそれ以上のことします。提案担当ができることと言えばそれくらいです。

競争ですから、案件の中身、要求仕様もさることながら、案件の状況を知ることが大切です。見極めの一番のポイントは、なぜ依頼をしたかの理由、経緯そして今後の段取りです。段取りがあいまいな相手に付き合う必要はありません。相手を立てれば案件が取れる訳でも、事業や自分が成長する訳でもありません。発注者に思い違いがないようこちらの出来ること、立場を知ってもらうことが大事です。コンピュータは人間ほど利口ではないし、簡単ではないし、開発には時間もお金かかるということです。私は最初にはっきりそれを言います。勝算のない案件に時間を使うことよりも実需に合わせた製品コア機能の拡充に時間を使うべきです。

ところで初めから勝算のない当て馬案件、見分けは簡単なのですが営業の立場だとなかなか捨てられません。ノルマがあるからですが、結局期末に悲しい結果を迎えます。当て馬ばかりというのは、営業の問題ではなくて製品、事業が当て馬レベルでしかないということです。そういう会社からは早く離れた方がいいです。ITの場合、営業で製品の不足を補うことは難しいです。いい仕事をするためには、いい環境に身を置きましょう。自己中心的、わがままでいいと思います。会社や上司も、みなさんの先のキャリアを考えている訳ではありません。その時々で役に立つ人間が欲しいだけです。自分のキャリアは自分で作る、そういう心構えがなければ、意思の通った全体設計なんてできないと思いますが、いかがでしょう。

永島志津夫

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2020年1月26日日曜日

データサイエンスの実際 インフルエンザ治療薬の審査承認

今回はシステムから離れて、インフルエンザ治療薬 イナビル の審査承認を例にデータサイエンスの実際に触れたいと思います。


2020年1月現在都内で流行しているインフルエンザは10年前に流行して問題となったA型 のH1N1pdm09です(東京都感染症情報センター)、予防接種もこの型をターゲットに製造されたので効果は高かったと思われますが、インフルエンザに罹った小児科の患者さんにお話を聞くと9割以上の方が予防接種をしていました。*

インフルエンザワクチンは感染(ウィルスの細胞内への侵入と増殖、拡散)を完全に防止することはできません。感染が成立すると24時間以内に発熱などの症状が表れる発病の段階に移行します。ワクチンによる発病予防効果は6歳以下の乳幼児で20-60%と見られています。「 なんだ、その程度ならわざわざ予約してお金を出して痛い注射をすることもない 」とは考えないでください。ワクチンの真価は 重症化 の予防にあります。インフルエンザが怖いのは肺炎、脳症など、命にかかわる重症化です。では有効なワクチンを接種していなかった乳幼児、高齢者、呼吸器・循環器の疾患をもっていた方はどうしたらよいでしょうか?それがタミフル、イナビルなどのインフルエンザ治療薬です(厚生労働省 インフルエンザ Q&A

前置きが長くなりましたが、以上の予備知識をもとにイナビルの審査報告書を読んでみましょう。イナビルは日本国内ではポピュラーな治療薬ですが、米国では承認されていません。この意外な事実は臨床試験の結果にあります。医薬品医療機器総合機構 ラニナミビルオクタン酸エステル水和物 承認情報 2010年09月10日 審査報告書 がそれです。

1番目のポイントは p67-68です。 p67 「成人におけるインフルエンザ罹病時間の要約統計量」の第三相国際共同試験CS8958-A-J301 を見てください。オセルタミビル(タミフル)と本剤(イナビル20mg、40mg)それぞれの被験者数300名超の比較試験です。効果は同じ程度という結果になっていますが、p68にあるように耐性ウィルスが拡大しタミフルに不利な環境での試験結果です。

2番目のポイントは p72-76 です。p73 「小児および未成年におけるインフルエンザ罹病時間の要約統計量」を見てください。例数は少なくなるのですが、成人に比べイナビルの有効性が高いようにとれます。成人と小児では事情が異なります。p76にあるように罹患経験、免疫能力の違い、また受診・薬剤投与のタイミングの違い(小児は発病の初期段階で受診する)があります。

メインとなるのは成人に対する大規模臨床試験で、効果は既存薬と同程度という結果です。米国はこちらを基準に判断したのでしょう。一方、日本では重症化対策を念頭に、選択肢を増やす判断をとったようです。小児への対応がその判断を後押ししたようにも思えます。

t-検定の結果がそのまま結論にはなりません。データサイエンスはツールです。データサイエンティストの未来は、課題に対する問題意識・関心、洞察にかかっているのではないでしょうか。

インフルエンザの感染の最良の防止策は、感染源に近づかないことです。また上気道の保護、基礎体力の維持も大事です。健康な生活を心掛けましょう。
永島志津夫

* 薬剤師業務もしており 2019/12-2020/1月の聞き取り結果です。