2020年9月6日日曜日

システム開発と原価計算 プロジェクト管理に実際原価がそぐわない?


製造業の原価計算システムを設計開発することもあります。前工程から実際原価を算出し後工程に反映していきます(転がし計算)。これを連結ベースで計算することもあります。そんな高度なことしつつも、灯台下暗しで、システム開発会社で実際原価計算をしているところは滅多に見かけません(私が知るのは過去1社だけです)。


エンジニアはだいたい固定給なので実際原価把握が容易なのに、なぜでしょう?どうも原因はプロジェクト管理にあるようです。プロジェクト管理と原価計算はもちろん別物ですが、一緒にやろうとすると実績原価(標準時間単価×実績時間)でプロジェクト管理して、原価差異を足し引きして財務上の原価を
出しますが、実際原価に戻ってきます(当たり前ですが)。標準原価法を使ったところでプロジェクトを推進するプラスアルファは何もありません。予定原価と実際原価がほぼ一致する業種ならいざ知らず、試験や移行の工数を漏らすレベルで標準原価法を使う意味はありません。プロジェクト計画のリアリティチェックをするだけなのですが、できていないですね・・
EVM(Earned Value Management)という進捗管理法があります。これは予定原価が信頼できる前提ですから、システムの世界ではダブルクエスチョンものです。そもそも信頼できる予定原価計算ができていればプロジェクトは成功を約束されたようなものです。すべて見通している訳ですから。形式的なプロジェクト管理も必要ないでしょう。待っていればQCDいずれも満足のいく結果が得られるます。前にも書きましたが見積、工数計算はシステム設計でも高い習熟度が求められる能力です(システム開発〈見積・工数計算〉)。 要は経験、能力が未達ということで、人材不足なのでしょう。新しい言葉、言語、開発フレームワーク、資源管理・・が出ては消え、出ては消えを繰り返して、本質に切り込めず、周りをまわっているだけのような印象です。予定原価に信頼性がない以上、システム開発の原価計算は実際原価で十分だと思います。

永島志津夫

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