プロジェクトの “急所” 、一つ挙げるとしたらどこでしょうか? プロジェクト計画、要件定義、設計、開発、テスト
どれも大切ですが、問題が表に出てくるのは “テスト” ですよね。結合テスト、システムテストでこんな問題が起きることがあります。
1.テストに入れない(プログラム がない!、ファイル、テーブル がない)
2.テストに入れない(テスト仕様書がない!)
3.テストに入れない(環境がない!、時間枠がない)
1番目のケース、まさかそんな!と思われますよね。でも開発の遅れで一部プログラムが揃っていないということは経験があると思います。影響のないところからテストをはじめます。またテストを始めた途端、仕様の取り違えが判明しテストにならない、ということもあるでしょう。結合テスト段階で単体テストのバグが出るというケースです。そもそも取りこぼしでプログラムを作っていなかった、リリース期日の間違え、もあるでしょう。
規模が大きくなる程、この手の初歩的なミスが増えます。
プログラムができるまでは、ドキュメントベースで確認するしかありません。要件定義書、設計書など何百ページもあるドキュメントを目検していく訳なので、ベテランであっても一定割合で、ある、なしレベルのミスが発生します。
発生割合ですが、さすがに全体の10%ということはありませんが、0.1%ということもありません。感覚的に1%はありますね。2%前後はあってもおかしくないと考えておくのが相場です。
結合テストからシステムテストと進むにつれ、ある、なし レベルのミスは全体の足を引っ張ります。影響のおよぶ範囲のテストを止めてしまいます。ミスは避けられません。早い段階で露見させるのが賢い対策です。PM(プロジェクトマネージャ)、PMOの真価は課題対策にあります。
“仮組み”
そこで開発中であっても、週の最後に、出来ている分だけ、ある分だけのプログラムを集め、中途半端なデータベースにつないでしまうのですね。私はよくやりました。ポイントは集めるにあります。
ビルドエラーも出ます。マスターのコード定義もありません。初めは動きません。それでも無いものが分かるので
「来週これは作る予定だよね?」
と確認できます。そこでドキッとします。
「忘れるところでした(本当は、忘れていました)」
というふうに。
アジャイルだと、頻繁にビルドをしているので、ある、なしレベルのミスは防止できますね。限られた時間と集中力を設計開発に回せるのは利点です。
“仮組み” はウォータフォール開発や基幹系システムでもおすすめです。「忘れている」というと、担当者に対する落ち度の指摘です。指摘された方は気分のいいものではありません。指摘する側も、言いたくて言っている訳ではありません(言いづらいです)。人間同士お互いの負の感情はコミュニケーションを阻害します。できれば避けたいものです。
“仮組み” は「ある」「なし」を見えるようにしています。担当者が「忘れていた」ことに違いはありませんが、指摘は、仮組み環境を経由した間接的なものになります。同じことでも人から直接指摘された時のような負の感情は生じないか弱いものになります。
「見える化」とか「可視化」は問題発見の効率化と合わせて、担当者の前向きな行動や、グループのコミュニケーションを維持する効用があるのではないでしょうか。
“仮組み” 試してみてはいかがでしょうか。
永島志津夫
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