2020年2月6日木曜日

失敗しない要件定義 その2 〈コミュニケーション〉

コミュニケーションについてのエピソードをご紹介します。


あるお客様から課題要望事項をまとめた一覧表がEメールで届きました。課題と思われること、課題ではないが実現できればなお良いと思われる要望があれば、ご連絡くださいと、前回の打ち合わせで私がお話したことを受けて送っていただいたものです。 
ただ一覧表を見ると担当のスタッフは驚いてしまいました。そこにはとてもご契約期間内(1ヶ月)で完了できないほど多くの事項、初めて聞く内容などがあったからです。これを一つ一つ実使用に耐える品質で実現することなど到底できません。担当者は途方に暮れかけていました。少し時間をおいてから私もそのメールと課題要望事項の一覧表を確認しました。 “まずは電話で課題要望事項として挙げた背景、理由であるとか、是非とも必要なことなのか、きいてみてはどうだろう?” と担当スタッフに話しました。幸いすぐ電話で連絡がつきました。30分程お話した内容は以下のようなものでした。  
“社内から色々と要望、課題が出てきており、その量を認識、把握する意味合いもあり一旦全て表にまとめた。要望として挙げているものも、すぐ実現が必要という認識ではなく、これから数ヶ月の中での改善を考えていく上での検討材料という位置付けである。もちろん要望を実現できるに越したことはないが、なかには相矛盾する要件も存在している。要するに、表に挙げたような要望は現在もあるし今後も出てくるであろう、そのような状況にあることをまず共有、理解してもらいたかった。”  
また、課題とされているものも一つ一つに対応するというよりは、業務に与える影響、代替手段(人手で回避、工夫できないか)、そもそも課題として挙げていることの理由、妥当性などの検討を一緒にしたい。それから現実対応できるものを絞り込んで、順次対応していくプランを作ることができたら、と考えられていることが理解できました。 
いかがでしょうか?電話でのコミュニケーションリアルタイム、インタラクティブですから効率がいいですね。テキストよりもはるかに情報量が多い分、相互理解に有利ですし、お互いの時間を共有したこと自体が価値になります。逆に、お客様から時間をとるに値しないと思われたら要件定義失敗です。電話が苦手なスタッフが増えていると聞きます。ボイスコミュニケーション、もっと活用して欲しいと思います。
永島志津夫



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