2022年9月24日土曜日

【一般会計】 仕訳種別 は一般的ではない?

 このところ会計の仕事をしているのですが、今まで普通と思っていたことが実はあまり一般的ではないことに気付きました。仕訳種別です。会計システムの主軸項目に、決算期、勘定科目、部門があることは間違いないかと思うのですが、実務上は仕訳種別が必要というか肝です。決算期、勘定科目、部門は考える要素はほぼありません。補助科目もだいたい顧客とか仕入先とかですね。仕訳種別は前期繰越、普通記帳、決算整理など勘定科目とは別軸で仕訳の性質を表現するために使います。試算表を確認する際に役立ちます。仕訳種別のない会計システムで決算を行うことなど想像できないのですが、どうもこれが一般的ではないようです。大企業向けの会計システムSAPでは伝票タイプという名称で用意されていますが、他ではわからなかったです。

EXCELのシンプルな仕訳帳
仕訳種別はごく普通のものだと思っていました

摘要には仕訳個々の事由を記載するので業務的なまとまりを示す仕訳種別を記載してしまうとシステムで(簡易に)集計することができません。なので仕訳種別という項目を独立して用意します。前期決算が完了・確定する前に翌期が開始されます。そのため概算残高でいったん翌期繰越を行い、債権債務確定、原価在庫確定と順を踏んで何度か繰越を行いますが、仕訳種別があれば再繰越を行っても他仕訳と取り違えることもありません。個人事業でも上場会社でも同じことです。いまだにERP、市販会計ソフト弱いです。

また原価管理だと原価要素という勘定科目とは別の勘定軸や、工程という部門とは別の部門軸を設けています。摘要とは別項目にするのは仕訳種別と同じ理由です。在庫受払、原価計算、資産評価は個別開発(もしくはハンド対応)になるのですがその話はまた次回に。

2022年6月2日木曜日

ACCESS アクセス が動かなくなった!

Officeアップデート の ODBC トラブルです。2022年5月24 日リリースのバージョン2205を適用するとODBCがおかしくなります。リンクテーブルで主キーが文字列型だとアウトです。MariaDBもこの影響を受けました(MariaDB ODBC Driver 3.1)。

対策はOfficeのダウングレードです。関連リンクの [ACCESS]#Deleted問題 が助けになります。私は被害なしだったのですが、ベータテスト(=MS社内・シンパテスト)どうなっているのでしょうか?ERP、パッケージソフトのデータベーステーブルの主キーは文字列型になっていることが多いのですが。

cd %ProgramFiles%\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun
officec2rclient.exe /update user updatetoversion=16.0.15128.20248

関連リンク

[ACCESS]#Deleted問題

Officeの更新履歴


 

2022年3月26日土曜日

会計ソフトが動かなくなった!

令和3年度の確定申告無事終わったでしょうか。私は年末年始に個人事業の決算と必要書類の整理をするのですが、某社の会計ソフトを起動したところ自動更新の不具合でそのまま動かなくなりました。アクセスの自作会計ソフトをメインで使っていたので穏やかな年越しをすることができましたが、過信禁物ですね

(下の画像はアクセスではありません。Googleスプレッドで作った仕訳帳です)。

Googleスプレッドの仕訳帳。ギリギリ使えそうです。
ピボットテーブルが使えるので仕訳帳から試算表
決算整理は手入力ですが、BS、PLの小計が0になるようバランスするだけです


90年代はこの手の不具合はしょっちゅうでしたが2020年代になってもまだこんなことがあるとは!市販ソフトやクラウドはブラックボックスなのでシステム不具合時はバックアップも意味がありません。来年以降は電子帳簿ごとクラッシュするのでしょうか。

システム設計で一番重要な考え方は simple is best です。中でもデータベース設計がカギになります。重要なデータを格納するテーブルをコアテーブルと呼び、教科書通りの単純な構造とします。会計であればコアテーブルは1つしかありません、仕訳帳テーブルです。私のような個人事業者でも日本を代表するような大企業でも違いはありません。

重要な仕訳帳はEXCELに簡単にコピー出来るように設計します。何かトラブルがあっても仕訳帳を開くことはできます。そもそも記帳の手前で、EXCELのシートを費目別に分けて整理していると思います。自作の会計ソフトは費目別シートからの転記を便利にするために作ったものでした。

今回のケースはアプリケーション障害とデータ喪失にあたります。クラウドではないのでデータ流出の心配はありません。大ごとではありますが、別のアプリケーションを並列運用していたので実害はありません。社会インフラ系では、一世代前のシステムを待機系として維持する方式が以前はありましたが、最近は聞きません。現用系と待機系で異なるシステムを持つというのは、企業・商用システムの障害対策、可用性対策として見直されてもいいかもしれません。

Googleスプレッドの仕訳帳は、アクセスの会計ソフトをさらにシンプルに出来るのでは?と思いついて作ったものです。(総)勘定元帳兼用になっていてフィルターで勘定を絞ると相対勘定と合わせて確認することができます。決算整理は手入力ですがバランスさせるだけなので大した手間でもないと思います。アクセスは自動計算にしていますが、そのロジックを抜くとGoogleスプレッドで試算表まで行けてしまいます。Googleスプレッドで仕訳記帳と決算が出来るのは個人事業者にとっては大きいです。それを実感したくてEXCELで作ったものをGoogleスプレッドにUPしました。EXCELなのでソフトの使い方を新たに覚える必要もありません。これも大きいです。

結局 simple is best ということでしょうか。資産台帳、減価償却、在庫評価、原価計算などありませんが、私の仕事ではすべて0行なので。


2021年12月29日水曜日

中小企業の上手なITとのつきあい方

デジタルという言葉は毎日ように聞こえてきますが、企業向けのデジタルは何であんなに高いのでしょうか?PCが10万円そこそこなのに業者からの機器見積もりは数百万円が普通です(故障率に差はありません)。家にインターネット引くのと会社にインターネットを引くのも10倍違います。Webサイトは10倍ではきかないケースもあるようです。大企業はいざ知らず中小企業は参ってしまいますね。電子化、クラウドと騒がれても結局出費がかさむだけです。

そんな疑問に、IT企業に属さない専門家ならではの裏話を友人が話します

中小企業の上手なITとのつきあい方セミナー

会計、法律、労務の専門家がいるようにシステムの専門家もいていいようなものですが国の制度に基づくものではないので、なかなか難しいです。友人も私も専門分野に分業化してしまう前からITを経験しているので、見積が膨れ上がる裏事情を知っています。セミナーは会員限定のようですが、後日一部をご紹介できると思います。

永島志津夫

簡単!電子帳簿保存

改正電子帳簿保存法の施行が延期になりました。難しく考え過ぎているようです。間違いなくIT屋がいけないのだと思います。私は会計帳簿を自作のアクセスで管理しています(連結会計システムを開発していた役得です)。元々売上仕訳は契約書類のPDFを添付できるようしていますが、契約通知、請求書送付メールへのリンクを追加し他の仕訳も同じ修正をしました。

電子メールはメールサーバによる授受の記録が正確なタイムスタンプと共に記録されています。郵便の消印にあたるもので改変ができません。最も身近な電子証跡です。これを利用しない手はありません。売上仕訳は相手先、金額、計上日を持っているので仕訳を検索をすれば自ずと電子証跡を確認できます。同じことを仕入、経費に適応すれば電子請求にも対応完了です。後日メールやPDFを探す手間もかからずおすすめです。

紙の請求書を無理に電子化する必要はありません。電子メールやWebで授受される契約書、請求書を会計帳簿から容易にたどれるようにしておけばOKです。


永島志津夫

2021年8月31日火曜日

ランサムウェア対策は? 基本に忠実なセキュリティ設計でシステム寿命も長くなります

コンピューターが進化し、面倒なアップデートにも付き合い、コストも払っているのになくならないセキュリティ被害、どうしたらいいでしょう。ヒントはコンピューター、ネットワーク技術の基本理解にあります。商用OSのセキュリティの基本的な考え方は、セキュリティソフトをアドオンするのではなく、リスク要素を除きシンプルにしていくものでした。いつの間にか基本がなおざりになった感があります。インターネットが日本で使われだした頃を思い出しながら、基本注意事項をまとめました。20年、30年と使い続けられた設計や技術はシンプルで費用対効果が高く、システムの長寿命化に寄与します。

 

1.管理者権限でログインしない(必須)

Windowsで理解できないのは管理者権限でネットサーフィンが出来ることです。インターネットは自己責任です。相手が国外であれば日本の法律は無力です。交通ルールが定かでない国で運転するのと同じです。ドライブは出来ても安全ではありません。

・管理者権限のないアカウントを作成し、通常のログインはそれを使うようにします。

・アカウントのパスワードは英数字、記号などランダムな16文字以上として紙に書いて保存します。セキュリティ情報はシステムから分離の原則です。


2.セキュリティの高いブラウザを使う(是非)

広告、特に仲介業者を通したアフィリエイト広告が氾濫していて、どこに落とし穴があるか分かりません。安全なブラウザを使うことで、アフィリエイトを抑止できます。表示されない以上、クリックすることもなくなります。フィッシング詐欺対策にもなります。

お天気サイトを閲覧した例

Google chromeの画面、アフィリエイト広告を抑止できない
Firefoxの画面、アフィリエイト広告を抑止できている


3.アプリを入れない・入れさせない(必須)

管理者権限がなければアプリを入れることもできません。利用者がそれと知らずメールやWebでだまされてアプリを入れてしまう事故も起きません、ウィルスやランサムウェアの被害が発生してもはログイン権限の範囲内に留まります。


4.Windows以外のOSを使用する(是非)

ここからはシステムの専門領域ですが現在ではLinuxを選択することが多くなると思います。LinuxはオープンソースでOSの技術情報や運用ノウハウに透明性があります。良いことも悪いことも広く共有され、OSについて知ることの出来ない情報はありません。そのためセキュリティ対策を立てやすく、迅速に対応することができます。


5.ネットワークからログインできないようにする(是非)

セキュリティは流行り、廃りとは関係ありません。機密性の高い情報を扱うシステムは監督者と物理的に近い場所に設置し外部とは遮断します。利便性とセキュリティはトレードオフになります。政府、金融機関等では現在でも普通に行われていることです。

Linuxであってもネットワークからログインできないようにします。サーバというと以前はシリアルポートからの接続が基本でした。シリアルコンソールは導入・運用が容易で費用対効果が非常に高いものです(導入コストはただみたいなもの)。大企業はもちろんのこと、中小企業、スタートアップ企業にこそ導入して欲しい対策です(DDoS対策・ファイアウォール、リアルタイム侵入検知、ウィルススキャン、証跡ログなどどれだけのコストが掛かるでしょう?設定ミスは大規模トラブルの元にもなります。専門知識、専門家の助けも必要不可欠です)。

永島志津夫


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2021年6月26日土曜日

寿命30年の自社開発システム!

(システムの費用対効果〈 システムの寿命 〉を改題)

30年動いてきたオフコンがありました!すごいですね。開発の費用対効果もさることながら、バージョンアップやデータ移行などの無駄もなくシステムの鑑です。パッケージ、ERPの方が楽だというのは本当でしょうか?大企業でなければERPのバージョンアップコストとても払えません。

30年前の設計書も残っていました。手書きで感動しますね。設計書を見ると、30年の間にシステムの使われ方が変わってきたことがわかります。現在は販売管理業務がメインなので使用帳票とヒアリングから、業務フロー、データ定義、画面プロトタイプも起こしました。ただ30年前のデータ仕様書は参考にしました。業務システムの根幹はデータ設計です。今回のシステムはマスタ以外のデータ移行はないので、テーブル構造、データ定義の制約はないので、データ設計をさらにシンプルにしましたが、イレギュラーケースの想定など念のためデータ仕様書を確認しました。

リレーショナルデータベース(MariaDBです)のビューやトリガのおかけで性能を維持しプログラム数も減らすことができました。フロントエンドがアクセスなのでクエリにデータフローを記述できるので手書きのプロシージャも最小限です。その分、便利機能を盛り込むことができました。

過去、私の関わった比較的大規模なシステムで、アパレル全社基幹システム、医薬品卸営業支援システム(SFA)、配送トラック動態管理サービス* があるのですが、どれもシステム稼働から10年を越えて安定稼働を続けている・続けた* ものです。ハードウェア交換は行っていますが開発されたプログラムは動き続けています。どれもスクラッチ開発です。

一方、パッケージ導入は稼働延長したものでも8年が限界でした。意外なのですが、パッケージの方が寿命が短いです。古い環境に特別対応できないからですかね?メジャーバージョンアップにぶつかって、実質的に再導入というケースもありました。もう別の製品ですね。

パッケージといっても大体アドオンするのでそんなに安くないし、アドオンプログラムのバージョンアップ対応でお金が出ていきます。製品保守費の15-20%が毎年自動的にかかっているのに、さらに上乗せされるお金です。会社の中で、金食い虫と情報システム部が白い目で見られる訳です。でも自社システムを開発する要員もいないし、中途半端にベンダーに頼らざるを得ないのが現状ですね。問題は業務別のシステム、パッケージという名のブラックボックスの乱立で、今度は運用管理やデータ連携に苦労することです。そこまでは外部に頼れず、結局、運用管理にシステム部の人手がとられてしまう。悪循環です。

パッケージソフトって、それ一つだけだとメリットが感じられるのですが、複数の組み合わせとか、連携とかになると途端に出来ないことが出てきて運用しづらくなります。
ユーザサイドも苦労して導入したソフト、せっかくなので長く使い続けたいですね。費用対効果のメリットも出てきますから。運用まで考えてパッケージ選定、システム設計したいです。

パッケージ導入、コツがあります。システムフローの尾っぽ部分はセーフです。頭部分は要注意、胴体部分は・・・
SAP 困っていませんか? 国産ソフト、クラウドベースやオープンソースですっきりさせるのも一案です。
永島志津夫

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追記 2020年1月6日
ワークフローソフトをパッケージ導入頂いたお客様を久しぶりにご訪問させて頂きました。無事、運用されているとのこと。安心いたしました。
お客様が大変協力的で(システムは賢くはないことをご理解いただき)アドオンなしで導入頂いております。末永くご利用いただきたいと思います。